ゆとりからの提言

ゆとりが何か言ってます。

日本の労働生産性を上げるために、ゆとりが考えていること。

お久しぶりです、ゆとりです。

前回の投稿から随分と期間が空いてしまいました。

 

今回は労働生産性のお話です。

過労死を始め、長時間労働にまつわる問題は日本において日に日に関心を集めつつあるように感じます。では実際には一体何が問題で、何が原因なのか。そして、それを解決するにはどうしたらいいのかを少しばかり考えてみようかと思いました。

私が実際に居住したことのある国はアメリカ、スウェーデンオーストリア、ドイツの4カ国なので、その辺りの国々と比較してみようかと思います。

 

まず、日本生産性本部の調査研究結果である労働生産性の国際比較(2016年版)から見て行きましょう。

国民1人当たりGDPの国際比較は以下の通りです。

f:id:yutori__93:20170418224355p:plain

アメリカは5位で56,077ドル、オーストリア、ドイツ、スウェーデンがそれぞれ7、8、9位で48,091ドル、47,221ドル、46,702ドルであるのに対して日本は18位で37,372ドルでした。主な先進国は軒並み日本より高いこともうかがえます。

次にOECDのデータから各国の年労働時間を見てみましょう。

f:id:yutori__93:20170418225346p:plain

ドイツは最も短く1,371時間、スウェーデンオーストリアがそれぞれ1,612時間と1,625時間、日本は1,719時間でOECD加盟国平均が1,776時間、そしてアメリカが1,790時間です。

これらのデータをまとめると下表の通りとなります。

 

国名 年労働時間(時間) 日本との差(時間) 1人あたりGDP(ドル) 日本との差(ドル) 円換算
ドイツ 1,371 -348 47,221 9,849 1,083,390
スウェーデン 1,612 -107 46,702 9,330 1,026,300
オーストリア 1,625 -94 48,091 10,719 1,179,090
米国 1,776 57 56,077 18,705 2,057,550
日本 1,719 0 37,372 0 0

 

表からわかる通り、ドイツは年労働時間が日本より348時間(1日8時間労働としても40日以上!)も少ないにも関わらず、1人当たり9,849ドル、すなわち約110万円多く稼いでいることになりますスウェーデン、そしてオーストリアも同様に日本より年100時間(12.5日)ほど少ない労働時間で100万円以上多く稼いでいます。対してアメリカは日本より年57時間(7日)多いですが、200万円以上多く稼いでいます。日本の労働効率の悪さがひと目でうかがえると思います。

 

そして、日本生産性本部による労働生産性の国際比較は以下の通りです。

f:id:yutori__93:20170418231407p:plain

 

アメリカは労働時間こそ日本より多いものの、その労働生産性は世界3位なのです。

そしてやはり、日本の労働生産性は先進国中でも最低レベルです。

 

では、日本の労働生産性の低さはどこから来るのでしょうか。

労働時間に着目すると、日本がこれほど長い理由としては残業時間が長いことと、休日出勤が多いことが挙げられると思います。これは日本の企業では残業代が出ること、そして労働の結果ではなく努力した過程を評価するのが一般的だからであると考えられます。労働者は残業代が出るために残業をし、そして企業は労働成果ではなく、労働時間を以て労働者を評価しがちです。すなわち、日本において一般的である終身雇用制度とは、労働者が安定と引き換えに、自らの時間を企業に差し出している構図であるとも言えます。日本において就活とはすなわち、就社なのです。この概念を崩すことが、日本において労働生産性を上げるのに必要なのではないかと考えます。

しかしこれは以前より問題視されていました。高度経済成長期に成立した終身雇用制度が、景気も何も異なる現在において通用しないことに気づいている経営者がいる、恵まれた企業があるのもまた確かです。

 

ではどのようにすればこの構図を崩せるのでしょうか。私がそこで参考にしたいのはドイツやオーストリア、そしてスウェーデンにもある制度を取り入れることです。

具体的には専門職に対し、ジョブディスクリプション形式による有期雇用を前提とした雇用制度、そして給料を定額とする年俸制を取り入れることです。ジョブディスクリプションとは雇用条件や責任範囲などを定めたもので、これによって労働者の権利は保障され、ジョブディスクリプションを超えた労働や転置などを回避することができ、雇用者と対等な関係を結ぶことができます。また、給料を年俸制とすることで労働時間は少ない方が得、という意識が生まれ、無駄な労働時間を削減できます。

しかしこの制度が日本に浸透するのには時間がかかると考えられるため、移行措置として新卒は10年契約、それ以降は5年契約という形で進めていくのが良いのではないかと考えます。この制度によって労働市場は流動的となり、企業は高い労働生産性を有する、すなわち高い成果を出す優秀な労働者を他社に流出させないために待遇を良くする、或いは本人の望むキャリアを提供する必要に迫られます。すなわち、労働者と経営者が対等でウィンウィンの関係を築くことができます。そして雇用期限を設けることで労働者は自身のキャリアを真剣に考え、自らの価値観に基づいて人生設計をしなければならなくなります。その際に自らの幸福について考えることで、本当の幸福感を得ることができ、必然、幸福度も上がると思います。すなわち、人が持つ人権の一つである幸福追求権を行使できるようになるのです。

そして成果主義ともなれば、結果に対する責任は労働者が負わなければなりません。しかし、逆に言えば成果さえ出していれば労働時間は問われません。私がドイツでインターンシップをしていた際、初日に上司から「私は君の就業時間は問わない。結果さえ出していればいつ来ていつ帰っても良い。給料も契約書通りに出す。」と言われました。実際、勤務時間は幾分か融通を利かせてもらいましたが、期待されていた以上の(契約条項以上の)成果を出し続けてられていたので、寧ろありがたいと言われました。

時間というのは万人に共通のものであり、客観性もあるように感じられるので評価軸となりがちです。しかし、そうすることで失われてきたものも多くあると私は感じます。一見評価の難しい労働成果による評価法を取り入れることで、企業にとっても、労働者にとっても利益となり、その結果、国全体としてもプラスにはたらくはずだと私は考えます。

 

長々と、そしてダラダラと意見を述べさせていただきました。たかが一学生の意見ですので、実際に働いている方からすると現実と乖離している、と言われるかもしれません。それでも、一人の学生としてこんなことを考えている、と社会に少しでも訴えかけていければいいなと思います。